国民経済計算と消費者物価指数における基準改定の役割

摘要

時系列で公表される統計の中には、定期的に基準改定（BenchmarkRevision)を実施して、時系列間の統計の質を確保する加工統計がある。本稿では主に基準改定をテーマとしたいが、基準改定が行われている統計の数は物価統計を中心に非常に多いため、本稿では主に国民経済計算体系のうち、日本の内閣府が作成している国民経済計算(以下SNA)と物価指数のうち、消費者物価指数(以下CPI)に関してまとめる。基準改定において国際的に程度と頻度に関する制約は設けられていないので、範囲や程度といった大まかな方向性から細かいことまで主として各国の統治権にゆだねられる。ただ、実際には主要国できりが良い5年毎、10年毎に行っているケースが多い。実務上の細かい基準改定の内容は、本号の別著作にて詳述するため、本稿ではCPIやSNAの基準改定に関する比較的大まかな知識に関して質疑形式でまとめる。