統計的推測の数学的理論はネイマン=ヮルドによって統計的決定理論として体系化され、多くの統計学者がそれに従って理論を展開したが、その理論の基本的前提を強く批判したのがR.Aフイツシヤーであった。彼は自分の立場を、1956年に著書『統計的方法と科学的推論』Statistical Meth-odsand Scientific Inierence Oliver and Boyd,日本語訳は、渋谷政昭竹内啓岩波書店1962年として論述した。この本はイギリスでは学会に大きな反響を呼び、多くの議論が行われたが、ネイマン=ヮルド学派が全盛期にあったアメリカ(および、その強い影響下にあった日本では、あまり大きな影響はなかったようである。しかし、フィッシャーの指摘は、統計的方法に関する基本的な問題点を含み、それは現在に至るまで解決されているとは言えない。そこで、今回改めてその主要な論点を紹介する。
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