ユズ

摘要

ユズ(柚子)は，ミカン科ミカン属の植物で中国長江上流が原産地といわれ,柑橘類の中でも耐寒性のある常緑低高木である。日本への渡来は，約1300年前の奈良時代前後と考えられ，その歴史は古い。そのさわやかで独特なインパクトのある香りと爽快な酸味は，日本料理や和菓子に欠かすことのできないものとなっている。伝統的な食品では，田楽に用いられる柚子味噌や上新粉・道明寺粉と味噌•砂糖•胡桃(くるみ)・芥子(けし)の実を加え混ぜ合わせた保存食でもある餅菓子の柚餅子(ゆべし)などがあり，柚子皮ペースト・とうがらし•塩を混ぜ和せて作る柚子胡椒は，日本料理やなべ物のアクセントとして広く用いられている。日本はその酸味を香酸酢として利用することが多いが，韓国ではほとんどなく，裁断した果皮を砂糖•はちみつと混合し瓶詰する柚子茶としての利用方法が古くから定着している。また日本では，冬至に柚子湯に入る風習もあり，その香りを楽しむとともに精油による血行促進などの効能を利用してきた。現在では入浴剤の定番の香りになるなど，日本人にはなじみの深い柑橘である。