地盤工学のための個別要素法6.パラメータの設定と土と地盤の作り方その1

摘要

前章までは，DEM解析が不連続性•不均質性が強い問題の取り扱い，大変形，流動，接触•剥離，崩壊後の複雑な挙動，そして堆積などの地盤形成過程の再現が可能な解析手法として，その特徴や留意点について計算例をまじえながら紹介してきた。また，構成式が不要でパラメータの数も少なく物理的意味が単純であることを述ベるとともに，適切な解析結果を得るためには粒状体の力学的挙動に及ぼす粒子特性の影響に配慮する必要があることが示された。一方で，実際の粒子サイズで，広い領域の境界値問題をまともに計算しようとすることは，膨大な粒子数が必要となり，現代の計算機能力をもってしてもほぼ不可能である。そこには，対象とする現象の特徴と地盤の特性を考慮した工夫が必要で，パラメータの適切な設定には，対象とする問題の主要因を適切に捉えるとともに，一方では割り切った「モデリング」が必要である。