集団茶園系のノンポイントソースによる硝酸負荷の実態: 静岡県牧之原台地における事例

摘要

本稿では，我が国最大の集団茶園地帯を形成する静岡県牧之原台地を調査地とし，そこからの硝酸負荷について検討をした。茶は永年性需葉作物で，高品質茶の高生産のため，多肥栽培が行われてきた。特に高度経済成長期以降，約30年間，施肥窒素量1,000kg・ha~(-1)・y~(-1)を超える過剰施肥が行われてきた。茶園流域からの流出水のNO_3-N濃度は，単純平均で24.4mg・l~(-1)であった。NO_3-N濃度は流出水量に大きく影響され，比較的小さな降雨でも流出水のNO_3-N濃度は急激に低下した。比流量とNO_3-N比負荷の関係は，高い相関性を示し，流出負荷量は，流出水量の影響を大きく受ける。調査流域からの年間流出負荷量は250.6kg・ha~(-1)・y~(-1)であった。茶園からのそれは427.6kg・ha~(-1)・y~(-1)となり，静岡県における茶園の施肥基準で窒素量は540kg・ha~(-1)・y~(-1)で，溶脱率は79.2％に達する。