下水再生水複合利用事業: 堺市の取組み

摘要

堺市では2014年12月、三宝下水処理場における再生水複合利用事業に着手した。ここではプロジェクト立ち上げの経緯を中心に紹介する。今回の事業は、三宝下水処理場から1.5kmほどの工場跡地で建設が進められている仮称「イオンモール堺鉄砲町店」へ再生水を熱源として供給するとともに、採熱後の再生水を既設の"せせらぎ水路"の水源として多段的に活用するもの。下水熱のカスケード利用は全国初。2016年3月の商業施設竣工と同時の供用開始を目指している。室町時代後半から江戸時代初期にかけて環濠都市として栄えた堺市では、市中心部を流れる内川水系を自然に近い水環境に改善することを目的とした「仁徳陵•内川水環境再生プラン」を1998年度に策定したが壮大な構想のため実現しなかった。その後、2014年度に第二次環境モデル都市に指定された際に再度このプランを盛り込んだ。今回の事業は、一部この流れを汲んだものといえる。