50年前には

摘要

1930年ごろ朝永19う2年というと，理化学研究所の仁科研究室に僕が入った年で，仁科研究室はそのころできたばかりでした。仁科芳雄先生はその前の年に京都大学に講義に来られましたが，そのころは，量子力学というものがあるそうだということは聞いていても，教えてくれる先生がほとんどない。ぼくたちは，若気のいたりで，老先生たちはだらしがないという印象を大いにもったわけです。このごろは逆にそういう印象を若い連中にもたれているかもしれないけれど。（笑声）しかたがないので，湯川さんたちといっしょにいろいろな本を輪講したりしていたのですが，そこに仁科先生が来られて，量子力学を本当の形で敢えていただいた。われわれにとって大きな救いであり，刺激であったのです。