プラスチック摂取は海鳥に消化阻害をもたらすか？

摘要

世界で最初に海洋のプラスチック汚染を教えてくれたのは海鳥である。1962年と1964年に北大西洋で採取されたコシジロウミツバメの胃の中からマイクロプラスチックが見つかった（図1)。その後.多くの種類の海鳥の胃の中から次々とプラスチックが見つかり，年々汚染が拡大していることがわかってきた。プラスチック摂取個体の割合は，北大西洋のフルマ力モメでは，1970年代の8割から2000年代には9割以上に，北極海でも2000年初めには4割以下だつたのが2008年には8割になつャこ。北太平洋のハシボソミズナギドリでも，1970年代初めの6割から1988～1990年には8割へ，2000年以降は9割以上に達した。プラスチックを飲みこむことがわかっている海鳥種においては，2050年までには95%の個体からプラスチックがつかるだろうと予想されている。さらに，特に外洋性のミズナギドリ目でプラスチックをよく飲み込hでいることがわかっており，これは，外洋にまでプラスチック汚染が広がっていることを示しているかもしれない。事実，その後，船によるサンプリングとモデル計算により，海洋に流入したプラスチックは波などにより破砕され，海流によつて大洋の中央部に運ばれ，そこで滞留することがわかってきた。