日本医療研究開発大賞各賞決定関係4省とAMEDが推薦内閣総理大臣賞は金井阪大教授と田辺三菱製薬に

摘要

政府は、第3回日本医療研究開発大賞の各賞受賞者を決定した。医療分野の研究開発の推進に多大な貢献をした事例について、功績を称えることで、国民の関心と理解を深めるとともに、研究者等のインセンティブを高めるため、闋係4省(文部科学省、厚生労働省、経済産業省、総務省)とAMEDからの推薦に基づいて、選考委員会(主査=永井良三•自治医大学長)で受賞者を決定した。内閣総理大臣賞を受賞したのは、SGLT2分子を同定した大阪大学医学系研究科の金井好克教授と、共にその阻害薬を開発した田辺三菱製薬(株)。血中の糖は腎臓の糸球体で老廃物とともに濾過される。健常者の場合、濾過されたほとんどの糖が尿細管壁に存在するタンパク質により再吸収され血中に戻されるが、糖尿病患者では、高血糖のため糖の再吸収が飽和状態となり、尿への糖排泄が血糖値に応じて増加する。金井教授は、腎臓での糖再吸収を担うタンパク質であるSGLT2を同定し、田辺三菱製薬(株)と共に、SGLT2の機能を抑制することで尿中への糖の排泄が促進され、血糖値が低下する効果が得られることを確認した。また同社は、SGLT2阻害薬であるカナグリフロジンを、2型糖尿病治療剤として完成させた。カナグリフロジンは、「尿中に糖が出る」病気を「尿中に糖を出す」薬剤で治療する、という逆転の発想から生まれたまったく新しい2型糖尿病治療剤であり、世界88力国以上の国と地域で承認され、ブロックパスターとなった米国を始めとして世界各国で使用されている。