素領域

摘要

「朝10時から大阪で会議、その後とんぼ返りで東京へ戻り、昼食を兼ねて商談」なんてことが夢物語でなくなる▼リニア新幹線が実現したらのことだ。時速500キメーロトル、東京—大阪間を約1時間、名古屋に至っては40分程度で着くのだから。JR東海では、6月3日、山梨県都留市にある山梨リニア実験センターで新型車両L0(エル•ゼロ)系の走行する姿を初めて公開した。現在、9月の試験開始を目指している▼実現となれば、人や物の流通システムが大きく様変わりする可能性を秘めている。例えば、東京を起点として移動が1時閭圈内ならば、飛行機はお役御免になるかもしれない。鉄道と飛行機を比べた場合、鉄道の最大のメリットは、異動先の都市のど真ん中に着くことができる。飛行機ではそうはいかない▼飛行場という広いスぺースが必要で、郊外に立地せざるを得ないだけに都市とをつなぐバイパスが必要だ。それに乗車手続きにしても、飛行機の搭乗手続きに比べれば簡単で、極端な話、出発ぎりぎりでも乗りさえすればよいのだ。あえてデメリットを探せば、横浜といった周辺都市にはリニア新幹線の直接的な恩恵はないかもしれない。出発した途端に着いてしまい、リニアの利点を活かせない▼筆者が駆け出しの頃(30年ほど前)、磁気浮上式鉄道として当時の国鉄•鉄道技術研究所(東京•国分寺市)で開発していた。そのリニア新幹線が、2027年、東京—名古屋間で開業され、営業運転が行われる計画だ。