病原注カビ侵入後どうする？

摘要

京都大学大学院農学研究科の高野義孝准教授、晝間敬·日本学術振興会特別研究員(現マックス·プランク研究所)らの研究グループはこのほど、植物が病原性カビの侵入を許した後、カビの拡大·蔓延をブロックする抵抗性に必要な因子を発見した。新たな防除薬剤の開発、耐病性作物の作出に貢献する成果として注目される。病害による世界の農業生産被害は10〜20%に達しており、これは8億人の食糧に相当する。そして、その80%以上が、糸状菌(カビ·菌類)によって引き起こされており、植物病原性カビの攻撃から作物を保護することは極めて重要な課題となっている。病原性カビは植物にとって大きな脅威であるが、ある特定のカビについてみると、それがどんな植物にも病気を引き起こすというわけではない。植物は自身に感染できない、つまり自身を宿主としない病原性カビに対しては、極めて強い抵抗性を示す。この場合、その植物は非宿主植物と呼ばれ、その強固な抵抗性は非宿主抵抗性と呼ばれる。植物が非宿主抵抗性を発揮できなければ、外界に存在する多数の潜在的病原体に対して侵略されてしまうことは明らかであり、したがってこの抵抗性は植物生存の根幹を支えるものと位置つけられる。