症例データを長期保存 東大病院「レポジトリ」運用開始 臨床硏究不正防止に期待

摘要

東京大学医学部附属病院大学病院医療情報ネットワーク研究センターは、大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)において、全ての研究者が活用できる世界初の「症例データレポジストリ(ICDR)」に第1例目の登録が完了し、運用が開始されたと11月28日、発表した。ICDRはUMINの臨床試験登録システムの追加機能として実装されているため、研究者は研究開始前に臨床研究計画概要を同システムに登録することが前提になっている。ICDRは研究終了後に匿名化された全ての症例データを登録·長期保存するもので、データの散逸防止や研究の質向上·効率化が期待でき、臨床研究の不正防止にもつながるという。臨床研究概要が登録される臨床試験登録システムは一般公開だが、ICDRに登録されたデータにはあらかじめ指定された研究実施者以外には非公開。第三者が閲覧を希望する場合は、研究実施者に許可を得る必要がある。近年、臨床研究で起きたデータの捏造をはじめとした不正事件は、国民の臨床研究に対する信頼性を失墜させ、国際的にも日本で実施される臨床研究の信頼性が疑われる事態を引き起こした。これに対し国立大学附属病院長会議や関連省庁は対策を、検討してきた。今回運用が開始されたICDRもその方策のひとつだという。