腫瘍細胞の生存を支えるエピシャぺローム

摘要

エピシャぺロームは腫瘍の生存を促進する統合されたシャぺロームネットワークであると、スローン•ケタリング研究所のA.Rodina氏らが報告している。(ネイチャー7625号)一過性の多タンパク質複合体は細胞機能の重要な促進因子である。その一つであるシャぺロームは、シャペロン、コシャペロン、アダプター、折りたたみ酵素といった多数のタンパク質からなるファミリーで、その動的な複合体はタンパク質分解装置とともに細胞の恒常性を調節している。これまでシャぺロームに属するタンパク質の個々の役割は調べられてきたが、それらのタンパク質が悪性腫瘍でどのように相互作用し、協同で機能するかという関係性についてはほとんど解明されていない。機能は自然に生じた腫瘍に見られる内因性の状況に高度に依存しているため、解析を容易にするためには細胞環境の破壊や改変を行う必要があるが、その方法が限られていることが主な要因となってシャぺロームを調べることはこれまで難しかった。