素領域

摘要

先月、カンポジアで開催されたユネスコの世界遺産委員会で富士山が世界遺産に登録された。国際記念物遺跡会議が除外すべきだとしていた、三保の松原も含まれることになった►世界遺産は文化遺産、自然遺産、複合遺産、危機遺産というカテゴリーに分類されている。富士山は我が国で13番目となる文化遺産であり、正式名称は「富士山：信仰対象と芸術の源泉」。1993年に、「法隆寺地域の仏教建造物」「姫路城」(文化遺産)と「屋久島」「白神山地」(自然遺産)が登録されて以来、これで我が国の世界遺産は17となった►その美しい姿から古くから日本人に愛され、我が国を代表する名山として世界的にもよく知られている富士山は、かって"休火山"と呼ばれていた。以前、火山は活火山、休火山、死火山という3つに分類されており、富士山は宝永年閭の大噴火から300年あまり静寂を保ち続けているためであった►しかし、研究が進むにつれて、噴火等の活動間隔は火山よってまちまちであり、3つの分類が現状とそぐわないことが判明。こうしたことから、2003年、火山噴火予知連絡会は「概ね過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と再定義し、活動度の高い順にA、B、Cの3つにランク付けした。この新分類によれば、富士山はBランク「100年活動度、または1万年活動度が高い火山」とされている。そして、09年には防災の観点から常時観測対象の火山の1つに選定された►裾野が広く対称的な山容を誇る富士山だが、その地下に存在するマグマにはいまだ謎が多いという。科学研究にとっても貴重な"遺産"であるといえよう。