光化学大気汚染をめぐる最近の動向

摘要

光化学大気汚染は，1970（昭和45）年7月に 杉並区の立正高校で運動中の生徒が目に対す る刺激症状，流涙，咽喉部の痛みおよび咳， 中には呼吸困難の健康被害を訴えたという事 例が，光化学スモッグによるものとされたこ とを発端に，新しい形の大気汚染として注目 された。当時，大都市を中心とする地域にお いて，光化学スモッグ問題が深刻になりつつ あるという背景から，1970（昭和45）年10月に 現在の中央環境審議会〔旧生活環境審議会（旧 厚生省），旧中央公害対策審議会（旧環境庁）〕 に「窒素酸化物に係る環境基準専門委員会」が 設置され，二酸化窒素，一酸化窒素および光 化学オキシダントに関する審議が重ねられ た。