1944年に米国のロスアンゼルス地域で,光化学スモッグによる植物の障害が発生した。主な原因物質がオゾンであることが58年に確かめられて以来,ほぼ50年。その間,無数の研究結果が報告され,総説も多数書かれた(たとえば小林,1999;野内,2001;Pritchard and Amthor,2005)。現在オゾンは,植物への影響に関して最重要の大気汚染物質であり,ヨーロッパを中心とした長距離越境大気汚染防止条約では,その濃度低下に向けた努力が行われている。日本では,69年頃からオゾンによる植物被害が見られていたが,最近ではアジアの他の国々でもオゾン濃度が上昇しつつあり,植物や農作物への影響が懸念される。
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