地球環境問題としてのオゾン汚染

摘要

対流圏におけるオゾンは，高濃度で存在すると人体や生態系にとって有害な働きをすることはよく知られている。一方で成層圏におけるオゾンは，生物に有害な紫外線が地表面に届くのを防ぐ役割を果たしている。このように同じオゾンでも成層圏と対流圏で役割が対照的であることから，成層圏オゾンは“Good Ozone”，対流圏オゾンは“Bad Ozone”と呼ばれてきた。またオゾン自体は赤外線を吸収する性質を有することから，近年では温室効果ガスとしてもその存在がクローズアップされており，対流圏オゾンはCO_2，メタンに次いで3番目に大きい放射強制力を持つと推定されている（IPCC，2001）。