2014年8月20日に広島市で発生した集中豪雨に伴う土砂災害

摘要

2014年8月20日未明に広島市で発生した豪雨に伴う土砂災害により,死者74名という甚大な被害が発生した。広島市安佐北区三入(気象庁)では1時30分からの3時間雨量217.5ミリを観測した。この3時間雨量は,当該観測所の最高記録であるだけでなく,過去の記録から突出して大きな値である。また,前日の18時までは先行降雨がほとんど降っていないこと,土砂災害の発生箇所の分布が3時間雨量の強雨域の分布と一致していることから,短時間の豪雨がこの災害の誘因となったと考えられる。調査団が実施した現地調査等により,土石流の発生した渓流の源頭部では,風化が進み脆くとなった花崗岩や堆積岩などの岩盤が確認され斜面表層部の崩壊の素因となったと考えられる。また,過去の地形図の比較から山麓部にぉいて宅地造成が徐々に進んできたことが確認され,土石流の流下·到達する範囲における土地利用形態も今回の大きな被害拡大の素因の一つと考えられる。