画像およびFEMを用いたRC桁のひび割れ発生要因分析

摘要

コンクリート構造物のひび割れは，外観において捉えやすい変状です。これを確実に捉え，構造物の評価や予測に活用することができれば，コンクリート構造物の維持管理を効率良く行うことが可能です。本研究では，デジタル画像によりひび割れを抽出し，その抽出結果を非線形有限要素解析により再現することで，鉄筋コンクリート(RC)桁下面に生じているひび割れの発生要因を推定することを行いました。検討では，非線形有限要素解析で得られた，建設後に発生しているひび割れの特徴(発生部位，方向，ひび割れ幅)に着目して，列車荷重やコンクリートの収縮といった作用履歴を組合せてこれを再現することで，ひび割れの発生要因を分析しました。そして，推定された要因に基づき，今後，橋りょう下面に発生するひび割れを予測しました。構造性能の評価だけでなく，構造物の劣化予測が可能となれば，構造物の調査や措置といった維持管理の計画策定にも活用できることが期待されます。