画像およびFEMを用いたRC桁のひび割れ発生要因分析

摘要

本研究で得られた知見を以下に示す。(1)RC桁に生じているひび割れの抽出を，輝度と幾何学的特性による画像解析手法を用いることで，目視観察により取得した結果とほぼ同様の結果が得られた。(2)FEMで得られた建設後12年目および建設後3年目に発生しているひび割れの特徴(発生部位，方向，ひび割れ幅)に着目して，これを再現可能な作用履歴の組合せを検討した結果，死荷重，温度，コンクリートの収縮などで生じていることが推定された。(3)推定された要因に基づき，今後.橋りょう下面に発生するひび割れを予測した。これは，構造物の調査の要点を提示するだけでなく，予測と異なる変状が現れた場合，想定した要因を見直す必要性が示唆されるなど，調査方法の改良につながると考えられる。FEMを用いたことで，このような変状がRC橋りょうの構造性能評価にも可能であることから，複合劣化の事象や予兆が捉えにくい事象の個別検査および措置の軽減に活用できると考えられる。