四種類の変流量制御方式及び二種類の送水温度条件下での配管系のエクセルギー解析

摘要

本研究では、利用可能なエネルギーという視点から、搬送エネルギーと端末空調機の伝熱特性の両方を考慮するために、四種類の変流量制御方式及び二種類の送水温度条件下での冷水配管系のエクセルギー解析を行って、変流量制御方式と送水温度の差異が冷水搬送系のエクセルギー収支に及ぼす影響を分析した。その結果、以下に示すような知見が得られた。(1)変流量運転時におけるポンプ揚程と投入電力は、回転数制御のポンプを用いると、弁絞りの場合と比べて小さくなる。回転数制御方式の中では、吐出圧一定制御、末端差圧一定制御、管路抵抗特性予測制御の順にポンプ揚程と投入電力が減少する。(2)端末空調機の熱交換量が一定の場合には、低い送水温度条件下での冷水の流量は小さく、それに対応してポンプの投入電力も小さくなる。(3)システム内で消費されるエクセルギーは、送水温度を上昇するに伴って上昇し、室内で利用可能なエクセルギーとエクセルギー効率は送水温度が上昇するに伴って減少する。しかし、システムが"省エネ"かどうかを決めるのは投入エタセルギーであり、これを小さくすればするほどよい。送水温度を上昇するに伴ってシステムへの投入エタセルギーが減少するので、温度を高めにすることは重要である。(4)システムの投入エクセルギー、消費されるエタセルギーは変流量運転時の値の方が定格運転時の値より小さい。また、これらの値は、弁絞りによる制御、吐出圧一定制御、末端差圧一定制御、管路抵抗特性予測制御の順に減少する。エタセルギー効率の方は逆になる。システムの投入エタセルギーの低減とェクセルギー効率の増加の両方を考慮すると、末端差圧一定制御と管路抵抗特性予測制御を選択したほうがよい。今後は、熱源機器が含まれる冷水配管系のェクセルギーの分析を行って、変流量制御方式と送水温度の差異が熱源機器の効率に及ぼす影響を明らかにしていく予定である。%The pump power reduction under part-load conditions significantly contributes to the improvement in the efficiency of HVAC systems, and the supply water temperature of a chilled water circuit may affect the heat transfer characteristics of heat-exchangers. In order to analyze the energy-saving effect of both pumps and the heat transfer performance of the terminal units at the same time, an exergy analysis of a chilled water circuit system with four variable-flow control strategies and two supply water temperatures were carried out from the viewpoint of exergy.