希釈法による超高強度コンクリートの塩化物イオン濃度試験に関する研究

摘要

水結合材比が20％を下回るようなブリーデイングの少ない高強度コンクリートについて，フレッシュコンクリートを純水で希釈した試料を加圧ろ過した測定用試料により，コンクリート中の水に含まれる塩化物量を簡便に測定する手法を検討した結果，以下の結論を得た。1）W/B＝16％およびW/B＝18％の高強度コンクリートの場合，フレッシュコンクリート3kgに対して純水W/Bを50cc加えて加圧ろ過することで，15分程度で塩化物量測定に必要なろ液を得られ迅速に測定を行うことが可能である。2）製造直後に加圧したフレッシュコンクリートについて，コンクリート試料加圧からろ液採取まで4時間以内であれば，ろ液の塩化物イオン濃度の変化が小さいと考えられる。3）今回検討を行ったJASS5T-502（フレッシュコンクリート中の塩化物量の簡易試験方法）の測定方法のうち，電量滴定法とモール法は低水結合材比の高強度コンクリートの希釈法による塩化物量測定に適用できる可能性がある。他の方法の適用については今後の検討による。工事現場においても，希釈コンクリートを作製，することで塩化物イオン量を簡便に測定することが可能である。