RC建築物における座屈拘束筋違の制振効果および接合部設計法: 鉄筋コンクリート骨組への座屈拘束筋違の活用に関する研究 その3

摘要

我が国における建築物の超高層化の傾向は1990年代から見られ，当初は事務所建築を中心とする非住居系の建築物が多く，鉄骨構造が中心であった.2000年代に入ると都市部においてマンションのような住居系の超高層鉄筋コンクリート（以下，RC）建築物が急増してきた超高層RC建築物では下層階柱には大きな長期軸力，さらに地震時に変動軸力が生じることになり，設計上の懸念事項となるが，建設が始まった当初からこれらの問題に対しては実験および解析によって様々な解決策が検討されてきたなど.また，近年では大きな軸力に対処するために高強度のコンクリート，鉄筋を用いた高強度RC部材が求められ，それらの性能を評価する構造実験も行われており，今後も超高層RC建築物の増加が予想される.純ラーメン構造の超高層RC建築物では主架構が大地震時に大きな塑性変形を受けることになり，コンクリートのひび割れや，主筋の塑性化によって継続使用が問題となる.そこで，最近の超高層RC建築物では制振構造を採用し，RC骨組の損傷制御および居住空間のフレキシピリティの確保が求められている.以上のような背景から，筆者らはRC骨組に座屈拘束筋違（以下，BRB）を組み込むことで耐震安全性，およびエネルギ吸収性能の向上を図る研究を推進してきたなど.超高層RC建築物に制振装置を通常の設置形式を用いて取り付けた場合，上層部では曲げ変形が卓越するため，制振効果がほとんど期待できないとされているが，その問題を解決するためにオイルダンパーを用いた新たな構造システムの検討も行われている.%In this paper, the seismic response control of buckling restrained braces (BRBs) in RC buildings subjected to earthquake ground motions is investigated by nonlinear time history analysis. In one model, the RC frame was braced by BRBs in each story (each model) and in the other one, each BRB spanned over two stories (over model). As a result of the analysis, the over model exhibited almost the same seismic response control as compared to the each model, although the number of BRBs was significantly reduced and the RC beams in the braced span were abandoned. In addition, the seismic response control of BRBs in RC buildings is investigated by FE analysis. Finally, the design of brace connections was suggested from the test and analysis result.