斜め格子パネルを用いた木質I形梁の長期性能と設計法: 斜め格子パネルを用いた木質I形梁の開発　その2

摘要

1) DOL係数は曲げ、せh断とも0.52となった。ただし曲げに関しては、短期試験およびDOL試験ともにせh断破壊しており、真のDOL係数は測定できなかった。2) 試験環境と破壊時間の関係で、載荷期間中の平均含水率と破壊時間の関係には相関が見られず、含水率の破壊時間に対する影響は確認できなかったが、載荷期間中の温度と破壊時間には負の強い相関があった。3) 短期の集中荷重によるせh断力に対して、せh断区間の長さが耐力に影響すること(長さ効果)が、長期載荷でも現れることを確認した。既報で確認された長さ比に対して-0.252乗の関係は、DOL試験の2つのプロットに重なった。本I形梁のような接着型ラチス状構造は、せh断力に対して長さ効果が有ると考えられ、それは長期においても短期と同程度に効果があると考えられる。4) 対数時間則によるクリープ係数(δ_(50)/δ_i)は曲げが1.48、せh断が1.56であった。試験終了時にこの梁に特有なウェブやウェブとフランジとの接合部には、部材の面外変形や損傷やずれ変形が見られなかった。これらはMSクリープを含hだ値でもあるが、一般的な木材や集成材と同等程度となつた。5) クリープ試験で発生した特に大きい変形の進行は、MSクリープ現象で、既往の知見と一致した変動だった。ウェブが比較的薄いため、特にせh断ではMS変形が起こりやすいと考えられる。6) 応力比とクリーブ関数の関係からせh断のクリーブ限度を推定する方法をせh断の長期試験の結果で試行した。せh断のクリープ限度は応力比0.52から0.58付近にあると推定された。7) 本研究のI形梁と既往研究による合板やOSBを用いたI形梁のせh断のクリープ係数、および各材料の短時間クリープ試験結果を比較した。せh断クリープは、ウェブ材の45°方向のクリープ特性に依存していると考えられ、DLPを用いたI形梁のせh断クリープはOSBや合板を用いたものより小さかった。