接合部回転剛性を考慮した木鋼ハイブリッドラチスシェルの弾性座屈荷重

摘要

近年，建築分野において木材利用が促進されているが，木造の中大規模屋根架構の接合部では，剛性ゃ耐力の確保が難しく，接合部に鋼材を用いる木鋼ハイブリッド構造の開発が進められている。屋根架構としてラチスシェルに木材を用いる際，接合部の回転剛性が座屈荷重に及ぼす影響が大きく，接合具の配置等により面外方向および面内方向の曲げ剛性ゃ耐力の違いが見られるため，各方向の接合性能の把握が必要である。筆者らはFig.1に示すようなスパン24m×24mの木鋼ハイブリッド単層直交格子ラチスシェル（以降，木鋼シェル）用接合部を新たに5種類提案し，実大載荷実験より面外正方向に対する接合部の回転剛性および曲げ耐カを明らかにした。鉄骨ラチスシェル屋根構造の座屈荷重に関する研究においては加藤らの接合部の曲げ剛性および直交格子単層ラチスシェルの座屈に関する研究が行われている。連続体置換法に関する研究においては加藤，山下らの2方向格子シェルおょびブレース補剛単層2方向格子シェルの座屈耐力の評価に関する研究，山下らの六角形格子で構成された単層格子シェル構造の弾性座屈特性に関する研究や繰返しせん断変形を受ける六角形格子鋼板の耐力と構面外座屈に関する研究，小河らの静的地震荷重に対する単層ラチスドームの座屈耐力および屋根型円筒ラチスシェルの座屈耐力に関する研究が行われ，これらの研究はラチスシェル屋根構造設計指針にまとめられている。松野らは鋼板挟み込み式ボルト接合により，曲げ剛性を有する木造単層スペースフレームの構造実験，数値解析を行い，ボルトが木材にめり込む挙動を考慮し座屈挙動を推定している。熊谷ら"1は木質単層スペースフレームを対象とし，各要素と架構全体の力学性状を明らかにしている。