東北発 PC道路橋の長寿命化を目指して

摘要

本報告では，東北地方におけるコンクリート構造物の現状を示したうえで，著者がこれまで調査研究を進めてきたPC道路橋の代表的な劣化事例として，日本海沿岸において著しい塩害を受けたポステンPC桁，および凍結防止剤散布下において塩害と凍害の複合劣化を受けたプレキャストPC桁についてダイジェストで紹介する。次いで，この地でこうした問題が再発しないよう，新たに建設される復興インフラをはじめとするコンクリート構造物の長寿命化を目指した取組みについて解説する。最後に，東北地方におけるもっとも深刻な問題として，凍結防止剤散布下におけるコンクリート床版をあげ，この種の部材では凍害，塩害，ASRが促進されるうえ，交通作用による疲労の影響を受けることを指摘し，この問題を解決するためのプロジェクトの概要を紹介する。