医療福祉工学専門委員会の活動を振り返って: type B工学の社会展開

摘要

長らく活動を続けてきた医療福祉工学専門委員会は，今年度をもってその活動をいつたh休止とすることとなつた.本小文では，その間の経緯を述べるとともに，工学領域における本分野の特徴や現況，将来などについて広く考察してみたい.「医用工学」「福祉工学」なる言葉はいまでは人口に膾炙するに至っているが,執筆者が学生であった30〜40年ほど前は工学の領域としてはほとhど知られていなかつた.この分野は，東京大学工学部においては，1980年ごろに芽生えたと思われる.当時は工学領域内でヒトゃ人を対象とし，それらの生命や生活を扱う分野はほとhどなく，工学部や医学部で人工臓器や医療機器などの医用工学研究が(細々と)行われていたようである.このなかで，医用工学•福祉工学をメインとして扱うライフサポートテクノロジ学会(現ライフサポート学会)が1985年に設立された.「ライフサポートテクノロジ」の趣旨として，以下が謳われており，やや長いが全文引用する.