New Frontiers in Colloidal Physics：A Bridge between Micro－and Macroscopic Concepts in Soft Matter

摘要

「コロイド」という言葉は元来，固体でも液体でもない物質を指すものとして生まれ，現在では，ある微粒子または液滴が他の相に分散した物質状態の総称として使われている．我々の身の周りには，塗料・食品・接着剤など非常に多くのコロイドが存在し，日常生活にとって必要不可欠な物質群となっている．コロイド科学は，古くから界面化学・応用化学・生化学など，主に化学・工学の分野で研究がなされてきた．しかしながら，マクロな物性を記述するためには物理学の概念・手法が極めて有効で，近年，新しい統計物理学の対象として物理の視点から活発に研究がおこなわれるようになった．さらに，ここ数年における実験・理論・数値計算の技術の著しい進歩に伴い，コロイド物理は新たな局面を迎えつつある．