森林管理への衛星データ，LiDARデータとドローン空中写真の利用

摘要

森林は日本の国土の67%を占め，そのほとhどを林野庁が所管する。そして，森林の約三分のーが人工林である。今日，標準的な伐期とされる林齢50年以上の人工林が過半数を超えた。林野庁は森林に対する国民のニーズが多様化し，高度化していることから，森林利用と公益との調和を図りながら持続的な森林経営を確立することを目指している。地域ごとに状況が多様なことから，市町村が，森林の期待される機能に応じて機能区分を設定し，地域の森林づくりのマスタープランを策定することを促している（林野庁2020a)。一方，日本の林家（民有林）は所有規模が小さいため集約的な林業経営を行つて収益を上げるためには，複数の林家を組織してまとまつた面積で森林経営を行う必要がある。このため，林野庁は小面積の森林を集めて管理対象の森林を30 ha以上に広域化して集約的な森林経営計画を策定することを求めている（林野庁2018)。ところで，国内の木材価格が長期間低迷してきたことから，森林伐採によって収益を上げるためには効率的な森林管理と林業経営が必要ある。このため，精度の高い森林の空間的な資源情報が経営計画の樹立に欠かせなくなつてきた。従来のような小規模な伐採では採算が取れなかつたが，大規模化することで効率の良い経営が可能になり，日本各地で伐採が広がり，集約的経営を行うには高精度の森林資源情報が必要なことが広く認識されるようになっている。さらに，森林の伐採後には植林することが求められるが，従来は地上調査で確認していた伐採や植林などの施業の実態を効果的に確認することが必要になっている。このような背景から，広域で正確な資源情報を得る手段と，手軽に森林施業を確認する手段へのニーズが高まっている。そこで，以下では木材資源利用の視点でリモートセンシングの利活用について概説する。