学術の大型施設計画?大規模研究計画: 企画?推進策の在り方とマスタープラン策定について

摘要

我が国における学術の「大型施設計画」（素粒子?原子核物理学、天文学、宇宙空間科学、rn核融合科学、地球科学など）は、国際的な協力と競争の下で、科学者コミュニティのボトrnムアップによる周到な立案と大学共同利用機関などが主体となった建設?共同利用によっrnて推進され、我が国の科学を世界の第一線に押し上げ、かつ大学等における基盤的研究とrn人材育成を支えてきた。rnいっぽう、生命科学、地球環境科学など広範な学術の諸分野において、多くの研究者をrn長期にわたって組織する計画によって、長期定点観測?研究、大規模データ収集、広範なrnデータベースや大規模資料ライブラリーなどの大分野を支え、我が国の学術の将来的発展rnを実現する「大規模研究計画」と呼ぶべき研究計画の実施が、国際的視点も加えて緊急のrn課題となりつつある。rnこれらの大型計画（大型施設計画および大規模研究計画、以下同じ）の遂行には、科学rn研究費補助金等の枠では賄いきれない多額の予算が必要である。大型計画は、新たな科学rnと技術の限界への挑戦であり、フロンティアを切り開き新たな知を創造する先端研究であrnる。大型計画により生み出される成果は、我が国の国際的地位を高め、広い関連分野の研rn究?教育を育て加速させるとともに、萌芽的研究を育成する研究基盤を広く強化することrnができる。資源?エネルギーに乏しい我が国にあって、広範な学術的基盤に支えられた最rn先端科学の発展が果たす役割は非常に大きく、持続可能な人類社会の構築に必要な技術のrn革新や産業創出にもつながる。rn従って、これら学術の大型計画の継続的推進は緊急の課題であるが、それとともに、我rnが国の大型諸計画の高い成果に伴い、国際的な共同協調に関する迅速で強力な対応が求めrnられていることも指摘したい。rnこのように学術の大型計画の適切な推進は、日本の科学水準の維持強化に不可欠であるrnその第一は、国民の、そして科学者コミュニティの理解が得られるような、科学に基づrnく透明なアセスメントの必要性である。大型施設計画には、前記の基礎科学分野を中心とrnしたボトムアップ型の計画とともに、国策的視点から独立行政法人研究機関を中心にトッrnプダウン的に実施されてきた、予算規模がより大きく技術開発色?応用色の強い計画があrnる。高い透明性と公開のもとで立案されるボトムアップ型計画においても、最終的な予算rn化段階や成果の公開で社会への説明が十分なされているとはいえない面があった。トップrnダウン的?国策的な大型施設計画にはさらに多額の予算が投入されてきたが、計画策定やrn決定のプロセスに科学者コミュニティが十分に寄与することができず、透明性や科学的視rn点に基づく評価、適切な利用体制などが不十分なケースも少なくなかった。rn第二の問題点は、大型施設計画を長期的かつ組織的に推進する仕組みの明確化が不十分rnなことである。科学者コミュニティの意見集約を踏まえた上で、科学的に有用性が高いとrn評価される各大型施設計画の所要経費、計画期間、期待される成果などをマスタープランrnとして明らかにし、それを政策判断に基づいて適切に実現して行くことは、大型施設計画rnに対する国民の理解を得る上でも必須である。rn第三の問題点として、近年、従来の「大型施設計画」とは異なるが、様々な分野で増大rnしている、学術分野の重要課題として長期間にわたって多くの研究者を組織し、通常の競rn争的経費では実施が困難であるような予算を要する「大規模研究計画」の必要性が高まっrnているが、それらに対する対応が不十分であることである。大規模なデータや資料の収集rnと効果的利用を推進することで新たな知を創造することなどで代表される、このような研rn究計画の概念を整理、確立して日本の科学政策において位置づけるとともに、大型施設計rn画と同様に科学的で透明性の高い評価および、所要経費、計画期間、期待される成果などrnについてのマスタープランの策定と、確実な推進の体制が求められる。rn日本学術会議は以上の学術の推進上の重大な問題点を認識し、科学者コミュニティの専rn門的意見を集約して、大型施設計画および大規模研究計画の検討を行い、わが国として初rnめての全分野にわたる大型計画のマスタープランを策定した。今後マスタープランにおけrnる計画追加や補強、学術的観点からの計画評価等を進めるとともに、以下に提言する大型rn計画に関する政策の学術の傭轍的立場からの具体化とその実現を通じて、我が国の学術のrn大型計画の適切な推進と学術の長期的強化の役割を果たすものである。rn我が国の学術の大型計画の企画、そして推進の施策の在り方について、以下を提言する。rn関係方面において、速やかな対応を検討し、実現されることを期待する。