時間依存相関ガウス基底の開発と光核反応への応用

摘要

光核反応は原子核の基底状態•励起状態の性質や宇宙における元素合成過程を研究する上で重要な情報源です。原子核は主に電気双極子場によって励起され、束縛状態と連続状態の両方に遷移します。そのため、光核反応の理論研究では、連続状態の寄与も含めた計算を行う必要があります。一方、多体の連続状態は境界条件が複雑で理論的な扱いが難しいという現実があります。本研究ではこの問題を回避するために開発された方法の一つである時間依存法[1]を用います。この方法では波動関数の時間発展から、明示的な連続状態の波動関数を必要をせずに応答関数を求めることができる方法です。そのため、波動関数の時間発展を正確に記述することが求められます。そこで本研究では、波動関数の時間発展を効率よく記述できる時間依存基底のアイデア[2]を多体系の記述に優れた基底関数として知られている相関ガウス関数[3]に拡張した時間依存相関ガウス関数を新たに開発しました。