幾何情報と光学情報に基づく複合多視点幾何

摘要

本論文では，カメラから得られる画像点の座標情報と輝度情報を組み合わせた新たな多視点幾何理論を提案する．従来の多視点幾何は，空間中の点をカメラに投影して得られる2次元点の座標情報（幾何情報）のみを用いて構成されていた．これに対して本論文では多視点幾何に輝度情報を加えることにより，幾何情報のみからでは得られなかった新たな多視点幾何拘束が得られることを示す．このために，本論文では近接光源画像の輝度情報を高次元空間からの線形投影により表現する方法を示す．この方法では各画素の輝度を8次元から1次元への投影として表現でき，これにより多視点幾何の枠組みを用いて，幾何情報と輝度情報の間に成り立つ多重線形拘束を導出することができる．このような幾何と輝度の間に成り立つ多重線形拘束を用いることにより，幾何と輝度の間での情報変換が可能となることを示す．また，実環境での実験及びシミュレーション環境を利用した評価実験により，提案した新たな多視点幾何の評価を行った結果を示す．