100年持たせる再生シナリオ（実践編）第10回 外観を重視した耐震補強工事

摘要

今月号も，杉並区の耐震改修助成制度を利用して 行った事例である.まずは表1にCマンションの概 要を示す.2009年11月にアドバイザー派遣として訪問以 来，2015年12月の耐震補強•大規模修繕工事の 完了まで，丸6年の年月を要したが（表2),診断， 設計，工事などの節目ごとに管理組合に対して説明 会を開催し，合意形成に努めた.特に補強方法につ いては，ブレース案とフレーム案の選択の際に，室 内からの景観阻害，コストの比較など，激論が交わ され，意見の相違から途中で売却•移転という選択をされた住民もいた.所有者のほとんどが居住者で あり,徹底した話し合いの後の総会では，各戸の負 担金が400万円前後あったにもかかわらず，耐震 補強•大規模修繕工事が全員ー致で決議された.そ の経緯を紹介する.