育良保育園

摘要

河岸段丘の頂部に建つ，4層のスキップフロア型保育園.飯田の段丘地形が屋内にも連続するような段々構成となっており，平坦で均質な安全管理空間ではなく，子どもたちが体の成長と共に自らの危機管理を養い，居場所を能動的に開拓していくことのできる建築を目指した.神社を囲む鎮守の森の中という限られた敷地面積から，建物は積層せざるを得ない.しかし上下層で学年やクラスの関係が断たれないようにしたい.そこで，全室を条件のよい南側園庭に面するのではなく，地面の下がる北側を0.5階として「お昼寝に適した静かなスペース」，南側は1階として「園庭と連続する活動的なスペース」，さらに0.5階上部の北側2階は図画工作などを行う「座学スペース」として，室の環境と役割を積極的に分け，学年単位(各2クラス)でトリプレット形式となる保育空間とした.0.5階と1階は建具で南北方向に，2階は可動棚で東西方向に一体化でき，園児たちがクラスや学年を超えて交流することを促すつくりとなっている.