豊岡中央交流センター

摘要

私たちは入札によって豊岡中央交流センターの設計者に選定された.入札制度による設計業務の発注は，行政による一定の審査(2年に1回更新の場合が多い)を通過した設計事務所に対し継続的に行われている.この制度は，クリエイティブな設計行為に合わない側面もあるが，公平性を担保する手法のひとつとして古くから定着しており，これによって生み出される公共建築の数は，コンペやプロポーザルのそれよりもかなり多いのが現状であろう.入札によるプロジェクトの設計案は，設計者が選定された時点においてはまだ設計案は影も形もない.ここが，案の魅力によって最初から進むべき道が示されているコンペやプロポーザルのプロジェクトとは大きく異なる点だ.そのためか，入札によって選定された設計者の案は，行政のある種独特な決定プ口セスや画一的な工事予算設定の中で，標準化•平均化されてしまう場合が多い.落札最低価格が設定されている場合もあるが，設計料の安さを競うことで設計者が体力を奪われてしまうことも，このことと無関係ではないだろう.