会津坂下町立坂下東幼稚園

摘要

本設計は既存中学校を統合小学校へ改修(木質化)，また同敷地内に統合幼稚園を木造で新築するという幼小連携を想定したプログラムで，日本建築家協会に所属する福島の建築家8人でプロポーザルに参加し，設計したものである.施設計画は，職員室や遊戯室を中心として3歲児棟と4•5歲児棟で園庭を「V字型」に挟み，それぞれの視線が通る配置とした.ガラス屋根の架かった雁木がアプローチ空間で，悪天候時の遊び場(冬期はスギ板の雪囲い)となる.内部は地場産の丸太と一般材の120mm角を使い，構造的合理性に基づいた存在感ある木造空間の中に子どものスケールに合わせた多様な小さな空間を対比的に共存させた.北に飯豊連峰を望む遊戯室は，両側に並ぶφ=400mm近い丸太で支えた桁の上に，120mm角の一般材のみで構成されたトラスが910mmピッチに架かるダイナミックな空間である.その中に子ども用の小さな家と半地下の読書コーナーを置き，子どもにとってのさまざまな居場所をつくっている.保育室は一般材を重ねた格子梁で屋根を受け，それを数本の方杖によって丸太に力を伝える構造を採用.樹形に見える丸太柱と子どもの背丈ほどの収納家具によってオープンなワンルーム空間を年齢ごとに緩やかに仕切っている.