東京大学生産技術研究所千葉実験所研究実験棟

摘要

人間とその社会の幸福を実現するためには，絶え ざるイノベーション（価値創造）が必要である.大学 や研究機関に求められる役割は，社会が潜在的に 求めている新たな価値を浮き彫りにし，これを実現 する技術開発を通じて，人間を育成していくことで ある.東京大学生産技術研究所は，創設以来，先 端技術を社会実装する前段階のものづくりを実現 する「中間工場」としての役割を担ってきた.日本 の宇宙開発の源であるペンシルロケット，鉄鋼業の 発展を支えた大学初の試験溶鉱炉の運用，自動車 用のトルク制御の技術の開発などの成功例がこの 事実を示している.本所附属の千葉実験所は本所発祥の地である西千葉キャンパスから柏キャンパスへ機能移転する機会を得て，「中間工場」としての 機能を，より純化した形態のキャンパスおよび建築 によって探求することになつた.広大な土地と巨大 な空間を活用した新交通システム•自動運転の研 究ゃドローンやロボットの未来像，そして航空機産 業との産学連携における新たな加工技術の開発など，IoT時代における新たな価値創造を目指して ユーザー目線で社会が何を求めているのかを探求 し，社会にディプロィアブル(配備可能)な技術のプロ トタイピングによって，大学発のイノベーションを発 信してしK拠点になればと考えている.