ホスピタルとデザイン展

摘要

スウェーデンのセント•ョーラン病院が2013年に 行った，緊急病棟改築におけるアートプロジェクト コンペで選出された，日本人デザイナーの赤羽美 和氏の提案「JAM」.その完成までのプロセスを紹 介する.赤羽氏はこのコンペに勝利後，病院の医 療スタッフらとワークショップを重ねながら，パター ンの最終形を決定していった.「言葉に頼らないコ ミュニケ-シヨン」をテーマに，r使うのは丸，三角， 四角のみ」というシンプルなルールを参加者に与え， その組み合わせから多様な図案が生み出された様 子が展示されている.改築は2016年春に完成.ここで生まれたパターンは，ガラスパーティションの 目隠しとして使われる他，病院の階段や壁面など， 病棟全体に展開されている.スウェーデンでは「人 は誰でも文化的に最低限保証された生活を送る権 利がある」ことを踏まえ，公共建築の予算の1%を アートに当てることが決められている.ワークショッ プを通じて改築プロジェクトに参加することで，そ の建築や環境が働く人や患者にとってもより身近な ものとなり，アートやデザインが医療の現場に持ち 込まれることで,さまざまな人が立場を超えてフラッ トに対話できる可能性が，本展では示されていた.