「地域の建築」は設計できるか

摘要

「地域の建築」と聞いてどhな建築を思い浮かべるだろうか？まず，職住が一体化していた時代の都市の町家，農村の民家や食品加工や手工業の作業場などバナキユラ一な建築.これらは日々の生業や気候や入手可能な材料との対応を通して徐々に形成されたからこそ，地域の建築と言える.次に，時代を超えた信仰の場として受け継がれてきた寺社仏閣.これは氏子や檀家との数世代にわたる紐帯があるからこそ地域に根ざしてしほと言える.また明治時代に建てられた学校，県庁など，遺産として保存された施設.その多くは，西洋古典やモダンの様式を伴い，地域にとっては異物として現れたはずだが，人びとがその施設での体験を通して近代社会の片鱗を学び慣れ親しhでいくうちに，近代化を象徴する地域のモニュメントになっている.あるいは図書館や美術館や駅など，人びとによく利用されている現役の施設.商店街，横丁などもそこに含めてよいかもしれない.これらは，暮らしを活気付けることにより，人びとからの愛着を勝ち得ていく.