最近の暴力団対策の進展と今後の課題

摘要

平成三年に制定された暴力団対策法の基本的なコンセプトは、簡単に言うと、「厳しい取締りに対抗するため、暴力団が、みかじめ料•用心棒料等を要求する際、恐喝罪に当たらないように巧妙かつ慎重に言葉を選ぶようになった。したがって、恐喝に至らない程度の、恐喝と比べると悪質性の弱い不当な要求行為も取り締まれるようにしなければならない。このような不当な要求行為を暴力団対策法で『暴力的要求行為』と定義し、公安委員会(警察署長)による中止命令の対象とする。中止命令に違反して暴力的要求行為を続けた場合は、刑事罰の対象となる。」というものだ。暴力団対策法の施行は、暴力団の資金獲得活動に対する大きな打撃となった。その意味で、暴力団対策法の施行は、暴力団対策を大きく進展させた画期的な転機であった。