ミリタリー人物列伝

摘要

英領ビルマ通る援蒋ルート遮断を目的として設立された日本軍の特務工作機関「南機関」。その機関長の任に就いた鈴木敬司陸軍大佐はビルマ人身によるビルマ独立こそ最前の途と考え、その実現のため独立派志士たちと協力体制を築く。しかしその理想は，ビルマ独立を先送りする軍中央と、独立派志士たちとの借頼関係の間で、厳しい舵取りを迫られる苦難の道であった。南機閔とは、ビルマの独立工作とインド·重慶間を結ぶ補給線、通称「ビルマルート」(64ぺージ参照(の遮断を目的とする大本営直属の謀略機関である。1886年(明治19年)にイギリス領インドに組み込まれたビルマでは、現地のビルマ人達は最下層の農奴となり、人々は独立運動組織「タキン党」を結成、反英活動を開始していた。イギリスは1935年(昭和10年(にビルマをインドから分割して直轄領とし、併せてタキン党穏健派のバー·モウを首魁とするビルマ人内閣を成立させたが、この内閣はイギリス総督を補佐する立場に過ぎず、ビルマの反英活動は一層の高まりを見せていく。