シニアボランティアによる子どもへの読み聞かせボランティアプロジェクトREPRINTS: その「三方よし」の効果と支援策

摘要

急速に少子高齢化が進むわが国においては，高齢者の社会活動をいかにして社会全体の活性化につなげるかが問われている。一方では，近年，社会保障費の増大とともに若年層の雇用の不安定さが深刻化している。医療費•介護費や年金といった高齢者施策を支えるための若年層の負担が大きくなる中で，高齢者が自己の利益のみを追求するアドボカシー活動を活発化させることは公共政策において世代間の対立を導きかねない。こうした議論は米国ではすでに1990年代初頭から噴出していた。確かに，高齢者は健康や社会経済的側面から最大多数の弱者となり得ると同時に，持続可能な共生社会の実現をめざすうえで，就労やボランティアといった有償•無償の社会貢献の担い手としても期待される。その解決策を模索すベく，地域における世代間の共生•共益'Win-Win'をねらったパイロット事業が，保健•福祉•教育分野で進められてきた。