高すベり耐カ設計を目指した高力ボルト締付け施工法(新耐力点法)

摘要

現在、日本で土木•建築の構造物に使用されている高力ボルトの締付けは、トルシア形高力ボルトを用いたトルク法によるものが主流である。トルシア形高力ボルトによる締付けは、施工の容易さやピンテールの破断で締付け完了が確認できるなどのメリットがある一方、締付け時の温度や保管·施工環境などによりトルク係数値が変化すると導人ボルト軸力に差が生じる場合がある。一方、建築分野での使用実績はほぼないが、土木分野では本四架橋等で数多くの使用実績がある耐力点法と呼ばれる締付け施工法がある。電動レンチが検出するモーターの負荷電流とナット回転角の関係からボルトの締付け時の剛性低下を自動的に判断して締付け停止を制御する施工法である。耐力点法ではボルトの耐力点付近まで締め付けるため、トルシア形高力ボルトによる締付けよりも大きな軸力を導入することができる。また、ボルト強度で制御をするため、トルク係数値や本締め時の剛性(被締付け材厚やボルト首下長さ）の影響をほとんど受けない安定した軸力導入が期待できる。