組織再生用繊維性スキヤホールドの表面機能化と構造制御

摘要

生体吸収性足場材料（スキヤホールド材料）は、幹細胞や 増殖因子とならんで再生医療技術を構成する重要な因子で あり、糸田胞増殖のための固相界面を掟供し、再生する組織 形態を制御する。最初に足場材料として使われたのはポリ グリコール酸の不織布であり、以来、図1に示したように、 繊維性スキヤホールドに関連する年間論文数は急速に増加 してきた。一方、生体内の細胞外マトリックス（ECM）は、 幹細胞の分化制御や複数細胞の三次元配列などのさらなる 高次機能を有しており、その結果、細胞接着性に優れるコ ラーゲンヤプロテオグリカンなどの有用性が指摘されてい る。さらに、2006年にDisherらは、足場材料の弾性が幹 細胞の分化を大きく影響し、神経・筋肉・骨の細胞への分 化をinvitroで制御できると報告した1）。このような力学 的特性が幹細胞の分化誘導に与える影響はメカニカル キューともいわれ、上述のバイオロジカルキューとともに 近年精力的に検討されるようになった。ナノ繊維構造が細 胞接着に有利であることは、広く知られているが、さらに 高次の機能性を達成しなければ、天然由来の細胞外マト リックスに匹敵する足場材料は構築出来ない。