計測を行うと多くの数値には「単位」が使われています.わが国では国際単位系であるSI単位(仏:Le Systeme International d'Unites,英:Imernational System of Units)が用いられ,この単位の元となるメートル条約には1885年に加入しています.つまりWilhelm Conrad Roentgen博士がX線を発見する10年も前から用いられている訳です.そして1991年には日本工業規格(JIS)においてもSI単位に準拠することとなり,本会でも用いられています.今から20年ほど前,私が研究会で発表を行った際「100ミクロンが•••」と言ったときに,ある先生から叱責を頂戴したことがあります.ミクロンという呼称は1967年の国際度量衡総会で廃止されており,正しくは[μm](マイクロメートル)だったのですが,全く無知な私に単位の大切さを教えていただいたことは今でも財産となっております.ここでSI単位を復習の意味を込めて挙げてみますと.SI基本単位として時間([s]:秒),長さ([m]: メートル),質量([kg]:キログラム),電流([A]:アンペア),熱力学温度([K]:ケルビン),物質量([mol]:モル),光度([cd]:カンデラ)の7つしかありません.これらの単位に接頭辞と呼ばれる10~9([G]:ギガ)や10~6([M]: メガ),10~(-3)([m]:ミリ)や10~(-9)([n]:ナノ)といったものを基本単位の前につけて使用しています.これ以外にSI組立単位というものがあり,例えば電圧([V]:ボルト,m~2·kg·s~(-3)·A~(-1)」),電荷([C]:クーロン,s·A),エネルギー([J]:ジュール,m~2·kg·s~(-2)),吸収線量([Gy]:グレイ,m~2·s~(-2))などSI基本単位を組み合わせて作られている単位があります.これらを用いて論文作成や学会発表を行っていると思うのですが,ごくまれに「0.01 sec」とか「80 Kv」といった誤った単位を見ることがあります.本当にすばらしい研究内容であっても,物理量としての単位に誤りがあると研究そのものが色褪せて見えてしまうことがありますので,細かいことかもしれませんが,私も含めて気をつけていきたいと思います.
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