循環器用X線装置におけるPCI条件下での多施設線量実態追跡調査

摘要

心臓カテーテル検査，経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention: PCI)において，被ばく線量の最適化は重要な課題である.2004年6月に関連学会によって構成されたIVR等に伴う放射線皮膚障害とその防護対策検討会による「IVRに伴う放射線皮膚障害の防止に関するガイドライン」に掲載されている患者皮膚線量測定法(以下，ガイドライン測定法）は.自施設の線量を把握および管理することを目的としている.国内における心臓力テーテル検査，PCI施行時のX線照射条件の最適化を図る目的で，循環器画像技術研究会(Japanese Society of Circulation Imaging Technology: CITEC)では2005年に東京都，神奈川県，千葉県，埼玉県の多施設におけるPCI施行時の透視および撮影線量の実態を把握するために，透視および撮影線量の測定を行った.同時にPCI施行時の被ばく低減意識を調べるためのアンケートを実施した.施設間差は透視線量率で32.9mGy/min,撮影線量率で5.5mGy/sとなった.また，ガイドライン測定法は認知しているが,医師と被ばくに関して意見交換をしている施設は少なかった.この調査から10年が経過し，被ばく線量の低減や防護の最適化は，さまざまな成果が報告されている.また，2015年6月には防護の最適化のために本邦初の診断参考レベル(diagnostic reference levels in Japan 2015: Japan DRLs 2015)も発表された.しかし，過去に多施設間での線量測定と，アンケート調査による被ばく低減意識の追跡調査は報告されていない.今回われわれは循環器用X線装置におけるPCI条件下での線量率と現状把握，および推移を知るために前回の調査と同じ施設で追跡調査した.