診断用X線装置管理と日本工業規格(一般·血管·乳房用装置)

摘要

近年，インバータ式X線高電圧装置のX線制御技術の進歩はめざましいものがある.インバータ式X線高電圧装置は1970年代に開発されたが，当時はインバータ周波数0.5 kHz,公称最大電力2-10 kWの小型の装置で移動形X線装置として用いられていた.1980年に入るとインバータ周波数7 kHz,公称最大電力80 kWの据置形装置が開発されたがX線制御技術ではさまざまな問題を抱えていた.1990年に入るとパワートランジスタの出現からインバータ周波数15-50 kHz,公称最大電力100 kWの現在も使用されているインバータ式X線高電圧装置が開発され，X線制御技術は大幅に向上した.このようなX線制御技術の発展はユーザのX線装置に対する信頼性を高めているが，制御技術の複雑化に伴いユーザの装置に関する理解が難しくなり，装置への認識が低下する要因にもなつている.こうしたX線装置の複雑化により，X線装置についてはメーカ任せという考えに陥るといつても過言でない.しかし，被検者にとって不利益なX線を使用するユーザはX線装置の性能を理解し，品質保証および品質管理を十分に行うことが必要と考える.そのためには，X線発生に直接関係する因子である管電圧，管電流，撮影時間および写真効果を正しく把握することが望まれる.