4.緊急MRI検査①撮像方法

摘要

産婦人科救急疾患の多くは急性腹症で発症する•一般的に突然発症した急激な腹痛の中で緊急手術やそれに代わる迅速な初期対応を求められる腹部疾患群のすベてを急性腹症と呼ぶ.急性発症の腹痛には病態の解釈が困難なことがあり，確定診断が得られないまま緊急に対応する必要が生じる場合もあることから，急性腹症という概念が導入されている.女性急性腹症患者の17%は産婦人科系疾患であり，40歳以下に限定すると産婦人科系疾患が45%に及ぶと報告されている1'. Figure 1に産婦人科救急疾患における鑑別チヤ一トを示す.産婦人科領域においては思春期後半から更年期周辺までの広範な年齢分布にわたつて常に妊娠の可能性がある.急性腹症で来院した患者についても例外ではなく，妊娠に関連した疾患でないかを鑑別することが重要なポイントとなる.急性腹症に対する画像診断は通常，超音波またはcomputed tomography (CT)が行われるが,超音波やCTで確定診断が得られない異所性妊娠，卵巣茎捻転，卵巣出血，卵巣囊胞破裂，骨盤内腹膜炎など産婦人科系の疾患，総胆管結石などの胆道系疾患でmagnetic resonance imaging (MRI)の有用性が報告されている.