爽やかなる熱情

摘要

本欄の趣旨とはちよつと違うことをお断りしておく。本の内容というより、その主人公の紹介ということである。筆者がその名前を初めて知ったのは、前の職場である財団法人(当時)電力中央研究所土木技術研究所の就職面接を受けるちょっと前に、恩師から「松永安左ェ門を知つているか？」と質問された。当然ながらその名前は知る由もなかつた(現在の就活中の学生であれば、それくらいは事前調査するのが当然のようである)。「電力会社や電中研をつくった人だから、電中研に入るのならそれくらいは知つておかないといけないな。」以来23年間、その名前に接することはあったが特に調べてみるでもなく、電中研での研究職生活を送ってきた。この本に出会ったのがその年目である。もちろん、松永安左ェ門に関しては種々の出版物がすでに刊行されていたが、自分にとつて出会うタイミングだったのかもしれない。著者の作風というのだろうか、筆者にとつては、松永安左ェ門の波瀾万丈の一生に感銘を受けて、すつと体に入り込んだ感じであつた。後輩たちにも、ぜひ読むようにと勧めた記憶がある。