既設構造物の性能評価: 臨床構造工学

摘要

橋梁の長寿命化計画策定のために地方自治体が管理する橋の視察に行くと、よく聞かれるのが「この橋だいじょうぶですか？」という質問である。橋の管理者が構造工学の専門家に期待するのは、まさにこの点で、既設構造物の性能保証•評価は社会が構造工学に期待する最重要課題の一つと思う。実際、米国、カナダ、英国、デンマーク、スイスといった1930年代にモータリゼーションを経験した欧米の先進国においては、既設橋梁の性能評価のためのマニュアルもしくは基準が開発され実用に供されている。Eurocodeでも現在開発中であり、オーストラリアでは、橋梁の耐荷力評価ガイドラインの推奨案が公開されている。